日焼け止めを買おうと思ってドラッグストアに行ったら、棚が埋め尽くされていた経験はないか。
SPF50+、PA++++、ウォータープルーフ、ジェル、ミルク、スプレー、メンズ用、UV下地、トーンアップ……選択肢が多すぎて、結局何も買わずに帰ってきた。
そういう人のために先に答えを言う。
正解① 初心者はこれを買え
ビオレ UV アクアリッチ ウォータリーエッセンス(花王)だ。
ドラッグストアでどこでも買える。価格は1,000円前後。テクスチャは軽くてさらっとしており、男性が使っても違和感がない。白浮きしにくく、伸びがいい。
スキンケアを始めたばかりの人、日焼け止めを初めて使う人、とりあえず何か一本選びたい人。全員これでいい。深く考えなくていい。
正解② もっとやりたい人はアネッサ
アネッサ パーフェクトUV スキンケアミルク または アネッサ パーフェクトUV スキンケアジェル NB(資生堂)だ。
汗や水に触れると日焼け止め膜が強くなる技術が搭載されており、屋外での活動が多い人に向いている。価格は2,000円台。
ミルクとジェルの違いはテクスチャだけだ。しっとり感が好きならミルク、さっぱりが好きならジェル。どちらを選んでも効果の差はない。自分の好みで決めていい。
男はUVを塗るだけで満点
少し立ち止まって聞いてほしい。
調査によると、日焼け止めを使っている男性は 約10〜21% にとどまる。つまり、男性の8〜9割は日焼け止めを塗っていない。
この記事を読んで日焼け止めを買おうとしているあなたは、それだけで上位に入る。難しいことは何もいらない。塗るだけでいい。
男はUVを塗るだけで満点だ。あなたはすごい。
いつから、いつまで使うか
「日焼け止めは夏のもの」と思っている人がほとんどだ。これが間違いだと知っているだけで、肌の老化スピードが変わる。
データで見ると、5月のUV-A量はすでに真夏(7〜8月)とほぼ同じレベルだ。「暑くなってから使い始める」では遅い。
ただし、現実的な話をする。
4月から日焼け止めを使い始める男性は、かなり意識が高い部類に入る。5月から使っている男性でも、周りと比べれば相当意識が高い。多くの男性が「夏になったら」「焼けてきたら」と後回しにしている。
このブログの推奨は5月から始めることだ。
量は多くなくていい。白浮きしない程度、違和感のない量でいい。完璧な量より、毎日続けることの方がずっと大事だ。
では、いつまで使えばいいか。10月を目安に続けてほしい。
9月は残暑があり、紫外線はまだ十分に強い。10月に入ると紫外線量は落ち着いてくるため、一区切りとしてわかりやすい。
5月〜10月。この6ヶ月を習慣にすることが、10年後の肌への最善の投資だ。
なぜ日焼け止めが最重要なのか
スキンケアの中で、最も費用対効果が高い行動はなにか。
日焼け止めを塗ることだ。
肌の老化の約8割は紫外線によるダメージが原因とされている。これを「光老化」という。特にシミ・シワ・たるみとの関係は深い。
シミ
紫外線を浴びると、肌はメラニン色素を生成して自己防衛しようとする。このメラニンが蓄積したものがシミだ。一度できたシミを消すのは難しい。紫外線を浴び続ける限り、シミは増え続ける。
シワ・たるみ
紫外線はコラーゲンやエラスチンを破壊する。コラーゲンは肌の弾力を保つ成分で、これが減ると肌がたるみ、シワが深くなる。加齢によるコラーゲンの減少は避けられないが、紫外線によるダメージはそれを大幅に加速させる。
個人的な意見:一番厄介なのは炎症の促進だ
シミやシワも深刻だが、個人的に最も厄介だと思うのが紫外線による炎症の促進だ。
UV-Bによる急性炎症は、日焼けして肌が赤くなる、あの状態だ。紫外線が肌に当たることで炎症が起き、赤み・熱感・痛みとして現れる。これは誰もが経験したことがある、わかりやすいダメージだ。
問題はUV-Aによる慢性炎症だ。UV-Aは肌の奥まで届き、活性酸素を大量に発生させる。活性酸素とは、体の細胞を傷つける有害な物質だ。これが肌の中で炎症を起こし続け、赤みや痛みとして気づかないレベルで毎日少しずつダメージが積み重なっていく。
厄介なのは自覚できないという点だ。日焼けして赤くなれば誰でも気づく。しかしUV-Aによる炎症は気づかないまま進行する。そしてこの炎症がシミのもとを増やし、コラーゲンを破壊し続けることで、シミ・シワ・たるみを内側から静かに進行させていく。
日焼け止めを毎日塗ることが、この見えない炎症を防ぐための最善の行動だ。
これらは全て「今日の紫外線」ではなく、積み重ねたダメージによって現れる。30代・40代で気になり始めたシミやシワは、20代に浴び続けた紫外線の結果だ。
高い美容液を買う前に、日焼け止めを毎日塗る習慣をつける方が、長期的な肌の状態に対してずっと大きな効果がある。
量と白浮きの現実
ほとんどの記事は「たっぷり塗ることが大事」と書いている。それは正しい。規定量を塗ってはじめてSPFやPAの効果が発揮される。
ただし、現実がある。
男性は白浮きが目立ちやすい。
男性はそもそも日焼け止めを塗り慣れていない。量の感覚がつかめていない状態で塗ると、白浮きして気になる場面が出てくる。特に屋外や蛍光灯の下では顕著だ。
男性は女性に比べて皮脂量が多く、日焼け止めの量と皮脂量のバランスが崩れると白浮きが起きやすくなる可能性がある。また個人的な見解だが、そもそも男性は女性より肌の色素が濃いことも、白さが目立ちやすい一因になっているように思う。
だからといって塗らなくていい理由にはならない。
まずは少量から試すことだ。 白浮きする量の基準は人によって大きく異なる。肌の色・皮脂量・使う商品によって変わるため、「この量が正解」とは言い切れない。少量から始めて、鏡で確認しながら白浮きしないギリギリの量を自分で見つけていくしかない。少なめになっても、塗っていないよりは断然いい。「完璧な量」より「毎日続けること」の方がずっと価値がある。
塗るときのポイント
量が決まったら、塗り方も意識してほしい。
太陽の光が最も当たりやすいのは、顔の中で出っ張っている部分だ。鼻・頬骨の高い部分がそれにあたる。これらは紫外線を直接受けやすく、シミやシワが出やすい場所でもある。
全体に伸ばした後、これらの部分にはもう一度重ねて塗る意識を持つといい。特に鼻は皮脂も多く日焼け止めが落ちやすいため、意識的に丁寧に塗っておくことをすすめる。
SPFとPAは深く考えなくていい
SPFとPAの数値を細かく比較している記事が多いが、男性がスキンケアを始めるうえでそこまで考える必要はない。
簡単に説明すると、SPFはUV-Bを防ぐ指標、PAはUV-Aを防ぐ指標だ。上で説明した急性炎症(赤み・日焼け)を起こすUV-BにはSPF、肌の奥まで届いて慢性的なダメージを与えるUV-AにはPAが対応している。どちらも防がなければ意味がない。
見るのは一点だけだ。
SPF50+・PA++++ が表示されているものを選べ。これが現在の最高値で、UV-BもUV-Aも両方カバーできる。数値の細かい違いより、毎日塗ることの方がはるかに重要だ。
メンズ用にこだわらなくていい。むしろ一般向けを選べ
洗顔料の記事でも書いたが、スキンケアに「男性用でないといけない」という縛りはない。日焼け止めに関しては、むしろ 一般向けの方が優れている と言い切っていい。
なぜか。メンズ用のUVは市場規模が小さい分、開発にかけられるコストが限られる。一方、一般向けのUVは市場が大きく、各メーカーが技術開発に力を入れている。結果として、テクスチャ・紫外線防御力・使い心地のどれをとっても一般向けの商品の方が完成度が高いものが多い。
このブログが推薦するビオレ UV アクアリッチもアネッサも、どちらもメンズ用という表記はない。それでも今最もおすすめできる商品だ。「メンズ用」という言葉に引っ張られて選択肢を狭める必要はない。
ウォータープルーフと洗顔の関係
日焼け止めの多くはウォータープルーフ対応だ。汗や水で落ちにくいよう設計されているため、肌への密着力が高い。
これは同時に、水洗いでは落とせないということでもある。
日焼け止めを塗った日は、夜の洗顔料が必須だ。水洗いだけでは日焼け止めの成分が肌に残り、毛穴詰まりや肌荒れの原因になる。
そもそも日焼け止めは、紫外線を吸収・反射することで肌への負担を肩代わりしているものだ。一日分のUVを受けた日焼け止めをそのまま肌に残しておくことは、その負担を肌に戻すようなものだ。しっかり落として初めて、その日のUV対策が完結する。
洗顔が日焼け止めの「後片付け」だとも言える。UV対策をきちんと続けるためにも、夜の洗顔はセットで習慣にしてほしい。
→ 男のスキンケアはまず洗顔から【登録販売者が選び方を解説】
去年の日焼け止め、どうする?
毎年5月になると出てくる問題だ。去年の余りが引き出しに眠っている。これ、使っていいのか。
店員として正直に言う。開封後1年を目安に買い替えてほしい。
日焼け止めは開封後、空気・光・温度の影響で成分が少しずつ変化していく。UV防御効果が落ちている可能性があるため、特に顔への使用は新しいものを使うのが正しい。
ただし、個人的な意見も添えておく。
1年以内のものであれば、成分変化はそれほど大きくないと考えている。去年の余りを顔ではなく体に塗るという使い方であれば、自分はそれで問題ないと思っている。実際に自分もそうしている。顔は新しいもの、体は去年の余り。これが現実的な落としどころだ。
ただし2年以上前のものは使わない方がいい。 さすがに成分変化のリスクが高くなる。迷わず処分して新しいものを買おう。
まとめ
【何を買うか】
- 迷ったら ビオレ UV アクアリッチ ウォータリーエッセンス 一択
- もっとやりたいなら アネッサ パーフェクトUV(ミルクかジェルは好みで選べ)
- SPF50+・PA++++ だけ確認すればいい。細かい数値は気にするな
- メンズ用にこだわるな。一般向けの方が完成度が高い
【いつ使うか】
- 使い始めは 5月が目安。4月から始めればなお良し
- 使い終わりは 10月が目安
- 男性の8〜9割は日焼け止めを塗っていない。塗るだけで満点。あなたはすごい
【塗り方】
- 少量から試して白浮きしない量を自分で見つけろ
- 鼻と頬骨の高い部分は重ね塗りを意識する
- 少なめでも塗っていないより断然いい。続けることが全て
【落とし方】
- 夜の洗顔料は必須。水洗いでは落ちない
- しっかり落として初めてその日のUV対策が完結する
【去年の余り】
- 顔には使うな。新しいものを買え
- 体への使用は1年以内なら許容範囲
- 2年以上前のものは処分する
この記事は登録販売者の現場経験と知見をもとに作成しています。肌の状態が改善しない場合は皮膚科にご相談ください。